平成11年、富谷市は「自分の親を入居させても後ろ髪をひかれない施設」「地域の人々が行きかう施設」を作りたいという想いをもって施設整備に着手しました。それを受けた宮城県からは「その想いは個室ユニット型でなければ叶わない」との指導を受け現在の設計にたどり着きました。しかし、当時は個室ユニット型の施設の運営については未知の世界に近い状態でしたので、法人では異例でありましたが、開設の10ヶ月前に準備室を設置し、勉強会を始めました。集団ケアの技術では対応できないと気づいたものの、その解釈に大きなギャップがありました。ギャップを埋めるための一つの手段として『杜の風基本理念』を作成し、運営方針やケアの基準を示し“サービス提供先行型ケア”から「個」を見つめ“自己実現に向けたケア”へと転換をしました。そこで感じたことは、従来型でのケアシステムでは対応できないということでした。ひとつ一つのケアを根底から見直し、杜の風ならではの“拘り”をもったケアの確立ができるよう日々試行錯誤しています。
生活者一人ひとりが“その人らしく”生活できる場,「我が家」を目指して、毎日の生活支援をさせて頂いております。 その人らしい生活、寄り添うケアを「ケアシステム」として確立すること、そして、家族・地域社会・施設が三位一体とならなければ生活者の自己実現へ向けた自立的な生活が成り立たないと考えました。杜の風では、一方的なサービス提供型の従来のケアから脱皮し、自立支援や家庭的な生活支援を行っています。
生活者がいかに暮らしを満喫できるか、それがケアプランに反映されるべきだと考えます。出来ないことにフォーカスするのではなく、どんなことでも出来ることを見つけて、支援する、その場しのぎにしかならない介護ではない生活支援を目指しています。暮らしをケアの道具にし、ここで暮らす方々の些細な想いもしっかりと受け止め、入居者の方々が、明るく楽しい生活がおくれるよう、職員一人ひとりが、親身になって、安らぎのあるもうひとつの家庭作りをめざしています。
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